生後2週間から白黒絵本で読み聞かせを始め、何千冊と読み聞かせしてきました。絵本の読み聞かせは、選書が命です。優れた絵本との出合いは、美意識を育て、本物を見分ける力を養います。将来の骨太な読書力につながる良い絵本を集めました。ゆっくりお楽しみくださいね♪
ツナグ
ツナグツナグ (新潮文庫)ツナグ
(2012/8/27 )
辻村 深月
新潮社
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【最初のページ】
アイドルの心得

風がふいて、コートの襟に手をやる。
空を見ていた目線をずらして横を見ると、さっきまで誰もいなかった街路樹の前に少年が立っていた。
「平瀬愛美さん?」
急に声をかけられて、用意していたはずの返事が喉にからんでしまう。「はい」と言うはずが「はっ」と短い息になる。私の反応に、少年が一歩身を引いた。
都営新宿線のその駅に、私は今日初めて降りた。指定されたとおりの三番出口。隣にファストフード店があったが、オフィス街の日曜日は開けていても儲けが少ないのか、明りが消えている。周りにあるめぼしいものはそれだけ。私はずっと目の前の大通りを過ぎる車を見ていた。
いつ、彼は来たのだろう。
「そうです。平瀬です。あの」
戸惑った。
待ち合わせの時間と場所に間違いはない。さっきからずっと、三十分も前から待ってはいた。だけど、道行く人の中に私が探し、想定していた相手は、もっとずっと年上だ
改めて、彼を見る。背後に他にも人を連れているかと思ったが、一人きりのようだった。

第32回吉川英治文学新人賞受賞作品

一生に一度だけ死者との再会をかなえてくれるという「使者(ツナグ)」をめぐる感動作。娘は当時中2で読みました。私と同じく、「親友の心得」の章が一番心に残ったと言っていました。鬼気迫る内容で、現実なのか作り話なのか頭のなかで錯覚をおこしそうでした。

息子もずいぶん前に読んだと言っていましたが、感想は「普通」だったようで、やはり女子向きの小説でしょうか。

最後の章で全てがリンクするところがおもしろい。自分だったら誰に会いたいか...あり得ない話なのに真剣に考えたりして。評判通りの傑作でした。
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